精神分析的心理療法

当オフィスでは、精神分析的な人間理解にもとづく心理療法を、大人子ども、そして家族のみなさんを対象におこなっています。また、そのような心理療法をおこなっている専門家のかたや、精神保健の専門家のかたを対象とした各種サービスもおこなっています。

精神分析は、オーストリアの医師で、最初の精神分析家となったジグムンド・フロイト (Sigmund Freud, 1856 – 1939) が研究し提唱した「人間のこころを理解するための理論」であり、その理論にもとづいた実践的な臨床技法です。フロイトは、こころのなかに存在する無意識とよばれる領域のさまざまな働きが、人間の感情や心の発達などに陰に陽に影響をおよぼして、多様な症状や困難などが生じると考えました。フロイト亡き後は、アンナ・フロイト (Anna Freud, 1895 – 1982)、メラニー・クライン (Melanie Klein, 1882 – 1960)、ドナルド・ウィニコット (Donald W Winnicott, 1896 – 1971)、ウィルフレッド・ビオン (Wilfred R Bion, 1897 – 1979)ら次世代のすぐれた臨床家たちによって理論と臨床技法の研究がすすんで、その発展・進化は現在もつづいています。

精神分析的な理解にもとづく治療は、その頻度に応じて「精神分析 (週4~5回、もしくはそれ以上)」「精神分析的心理療法 (週3回)」「精神力動的心理療法 (週1~2回)」などと呼ばれます。いずれも、現実的におこった出来事そのものや、語られたことの内容そのものにとどまらず、患者と治療者のあいだで意識的・無意識的にやりとりされるさまざまな思い、感情、気配、様子、知らぬ間に夢や行動などにあらわれた無意識的なものごとなども丁寧に検討していくことによって患者自身について、患者のこころのありようや動き方について、そして対人関係などの傾向についてより深く理解してゆくことを、患者と治療者が一緒にめざします。

そのような検討の経過で、できれば気づきたくなかったような心の痛みや、自らの嫌なところなども目にしてゆくことになりますから、精神分析的心理療法は決して平たんでも簡単でも愉しいことばかりでもない道のりになるといえます。また、一歩一歩、ゆきつもどりつ、紆余曲折しながらすすんでいきますから、毎週一定回数、ある程度の期間通ってきていただくことが期待されます。大変なことです。しかしそのような作業をとおして自らのこころがより成熟し、やがて自らの人生をより楽しめるようになるなら、それは取り組む価値のあるものだと私たちは考えています。

 

参考文献

精神分析的心理療法の効果について、うつ病に罹患した大人を対象に認知行動療法と比較した研究が出版されています(英語です)。

Fonagy, P., Rost, F. Carlyle, J. McPherson, S., Thomas, R., Fearon, P., Goldberg, D, Taylor, D. (2015), ‘Pragmatic Randomized Controlled Trial of Long-term Psychoanalytic Psychotherapy for Treatment-resistant Depression: the Tavistock Adult Depression Study (TADS)’, World Psychiatry, 14, p.312–321.
紹介ページこちら: Adult Depression Study (TADS)
論文のPDFダウンロード: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/wps.20267/pdf